ザ・インタビューズ 保存版

失礼な質問でしたらごめんなさい。小川さんはドMですよね?性的なほうです



まず、根本的な問題からいきましょうか。私は以前にもツイッターで書いた事があるのですが、いわゆる「ドS」「ドM」なる言い方に圧倒的な不信感を抱いています。現在、あらゆるメディアにおいて、その言い方は何の疑問も抱かれず、ヤングからアダルトまでポピュラリティを得て語られている現状です。私は別段「正しい日本語を」とか「ネットスラングは否」等と主張する事は少ないと思うのですが、多少なりとも「SM」というものを意識した事があるなら「真正サディスト」「真正マゾヒスト」という言い方が正しく、それは変態性欲、嗜好の呼び名であるという事は疑い様がありません。確かに、限りなくソフトにSM嗜好を表現するのに、「ドM」「ドS」という言い方が分かりやすいのは事実です。事実なのですが、どうしても納得がいかないというのが本音です。

「ドS」「ドM」というと耳障りは良く、女子高生等が使っても違和感はありません。しかし、このような特殊用語が形を変えて日常に溶け込み、本来の意味とはかけ離れた所に行くにしたがって、よりいっそうマイノリティに対する排除が始まっている事は見逃せません。殆どのマイノリティは商業主義とはかけ離れた場所に存在しており、本当に個人的な快楽嗜好の為に、マイノリティは想像力を働かせて小さな文化を創造するのです。

いつの時代もマジョリティは、その手段が有用だと判断すると、マイノリティがコツコツと創造してきた物の搾取に取り掛かります。金になると判断すれば、ヤツらはどんな汚い手段を使ってでも我々マイノリティの大事にしてきた価値観を奪おうとしてきます。奪った側は、その価値観を徹底的に崩し、揉み解し、手垢にまみれさせて、汚し、陵辱するのです。あいつらのツラの皮の厚さ、厚かましさは「剥奪」という犯罪を正当化させるために鍛えられており、繊細な我々は敵うハズがありません。奪われた側は泣き寝入るしかないのです。

正直に言いますと、私は「SM」というものにさほど興味はありません。しかし、だからこそ、それらにまつわるあらゆる文化に軽々しく口を出さない方が良いと思っております。しかし、本当に愛する人がサディストだったとして、私の肛門にディルドーを挿入したい、頭から小便をかけたい、緊縛して山の中に放置したい等の要求があれば、それは受け入れて然るべきではないでしょうか。