ザ・インタビューズ 保存版

「トマホークやす子」名義のアルバムが好調で、海外チャートを賑わせている小川さんですが、とくにこのアメリカで小川さんの音楽が受けている原因は何だと思いますか?



それは、私が幼い頃より抱いていたアメリカ文化への憧憬を素直に表現してみたからだと思います。私の決定的なアメリカ観は、言わずもがな「アーノルド坊やは人気者」による所が大きく、異文化というものを考える基礎になっています。今回アメリカのマーケットを対象にしているのは、歌詞にも明確に現れていると思います。一部の歌詞を抜粋して説明しますが、「Kill The Jap」という曲での「ホットドッグ いっぱい沢山 食いたいぜ マスタードも いっぱい沢山 かけたいぜ」というフレーズに込めたアイロニーが分かるでしょうか。我々日本人はアメリカ=マスタード、山盛りポテト、ホットドッグ等「豪快」な物しか思い当たる所がありません。実際私も渡米する以前は、アメリカ音楽はボンジョビくらいしか聴いた事がありませんでした。しかしその大雑把なアメリカイメージを徹底的に提示する事により、私がアメリカそのものを挑発していると受け取ってほしいのです。アメリカ、なんかすげえ大きいし、黒人とかすげえ怖いけど、オレはアメリカに負けないぜ。だってマクドナルドとかいっつも食ってるし、なによりアーノルド坊や見てたから結構アメリカの事分かっているつもりさ、オーイエー、オールナイトダンシン、そういうノリで全部やったのがアメリカンに分かりやすく捉えられたんじゃないですかね。異文化と接触する時は、ナメられる前に、徹底的にナメ尽くしてやりましょう。媚びていても何も始まりません。違うものは違うという考え方が無いと認め合うのも難しいと思います。とにかく私はホットドッグにマスタードソースをたっぷりかけて食べたいという事をアメリカ側に主張したいのです。